クルト・グントナー(ヴァイオリン)
&佐々木 秋子(ピアノ) 2014年3月20日発売

2014年3月20日発売

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CD番号 HERB-017
クルト・グントナー(ヴァイオリン) & 佐々木 秋子(ピアノ)  
フランツ・シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ全3曲&ソナタ
フランツ・シューベルト I Franz Schubert  1797-1828

  • ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 第 1 番 ニ長調 D.384, op.137-1
  • ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 第2番 イ短調 D.385, op.137-2
  • ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 第 3 番 ト短調 D.408, op.137-3      
  • ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(二重奏曲)イ長調 D.574, op.162

録音:2011年12月14日~16日 神奈川県立相模湖交流センターでのセッション録音
2014年3月20日発売 定価 3,000円(税別)

ルドルフ・ケンペ&ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団コンサート・マスター、又今や伝説となっている1969年のカール・リヒター&ミュンヘン・バッハ管弦楽団来日公演で、ソリストとコンサート・マスターを務めていた巨匠クルト・グントナーと佐々木 秋子による究極のデュオ


巨匠クルト・グントナーと佐々木 秋子による究極のデュオ
フランツ・シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ全3曲&ソナタ

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レコード芸術 2014年5月号 新譜月評 / 室内楽
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第1番/同第2番/同第3番/
二重奏曲(ソナタ) クルト・グントナー(vn) & 佐々木 秋子(p) ハーブクラシックスHERB-017
準推薦 / 高橋 昭
シューベルトのヴァイオリンとピアノのための3曲の《ソナチネ》と《二重奏曲》とも呼ばれるイ長調ソナタをカップリングしたCD。演奏しているクルト・グントナーは長いキャリアも持つヴァイオリニストで、バイエルン国立歌劇場管弦楽団(カイルベルト指揮)、ミュンヘン・バッハ管弦楽団(リヒター指揮)、ミュンヘン・フィルとバイロイト祝祭管弦楽団(ケンぺ指揮)でコンサートマスターを務めるなど、長いキャリアを持っている。
ピアノの佐々木秋子は桐朋学園大学卒業後、フライブルク音楽大学大学院に学び、特に室内楽で経験を積み、グントナーとは2010年のリサイタルで共演している。
高齢にもかかわらず、グントナーのヴァイオリンは音色が美しく、音質が緻密で、それは強弱や表現がこまかく変化するフレージングと結びついて、すっきりとした演奏を生み出している。
佐々木の演奏はタッチがこまやかで美しい響きをもたらしているし、ヴァイオリンとの結びつきも堅密で、特にイ短調《ソナチネ》での好演が印象に残る。
 《デュオ(二重奏曲)》の名称で知られているイ長調ソナタD574では、ヴァイオリンの柔らかい響きとこまかく変化する表情が結びついて、すっきりとした演奏を生み出し、この曲の魅力を十分に味わわせてくれる。

準推薦 /大木 正純
クルト・グントナーはドイツ・ヴァイオリン界の大ヴェテラン。カール・リヒターに率いられ、ミュンヘン・バッハ管弦楽団のコンサートマスターとして来日したのはもう40年以上も前のことである。武蔵野音楽大学の客演教授として日本にも縁が深い。一方ピアノの佐々木秋子は、ペーター・シュミードルやヴェルナー・ヒンクらとも共演を重ねている室内楽の実力派である。
今回のシューベルト・アルバムはこの手のものとしては定番的な内容で、3曲のいわゆる《ソナチネ》と、《デュオ(二重奏曲)》の名でも呼ばれるイ長調のソナタを収めている。中でも最も心を惹かれたのが《ソナチネ》第3番ト短調だ。ぴたりと息の合ったデュオが絶妙な対話を繰り広げ、その親密な空気が独自の世界を築き上げている。
同じく第2番イ短調も良い。先立つ第1番ニ長調では重奏をくっきりと縁取った佐々木のピアノが、ここではしっとりとした支えとなり、グントナーの引き締まったヴァイオリンとうまく調和している。ヴァイオリンには枯淡の味もないことはない。しかし全体的には、古希を過ぎても力と勢いは健在だ。
最後《デュオ》のになると、意図的かあるいは自然な成り行きか、いずれにしてもヴァイオリンがひと回り大きな存在感を発揮する。しかし、デュオのバランスないし成熟度という意味では、私はむしろ《ソナチネ》に軍配を上げたい。
録音評 / 峰尾昌男  90点        レコード芸術 2014年5月号 P.127